前回は「削除された部分」の話しかしてないので、今回はもっと全体的な話を。
愛蔵版『ＬＳ』は、ＬＳ本編の内容に、次のような追加要素が加わっています。
１・作者による前書き＆質問への回答（Foreword）
２・推敲段階の原稿二枚（10th Anniversary Original Draft Pages）
３・編集者とのやりとり（Correspondence）
４・ＬＳから削除された部分（"Lost Chapter"from Lost Souls）
５・ＬＳの後日談な短編（"Stay Awake"）
以下、それぞれの内容について簡単に感想を。
１・作者による前書き＆質問への回答
この文章の題「The last word on Lost Souls」に、作者の「これでＬＳについて語るのは最後だからね？！もうこの話題ふるんじゃないわよ！」を感じますが気のせいですかね。
ここでは、十周年を迎えてのＬＳに対する思いや、ネット上で募った、読者からのＬＳについての質問の幾つかに対する回答が書かれています。
一番印象に残った質問はこれですかね。
Ｑ「ゴーストは何でこんな名前ですか？誰が名付けたんですか？」
Ａ「おばあちゃんがつけたんです。」
おお、予想し得た答えとはいえ、作者から明快な答えが見られて喜ばしいことです。これもまた十周年の奇跡。そして作者はつくづくアンが嫌いらしいです。
２・推敲段階の原稿二枚
タイプライターで打たれたと覚しき原稿が二枚、掲載されています。１枚目は、ジラー達三人が街に滞在中にバーで飲んでいるという、完成版ＬＳには存在しないシーン。２枚目はジラー達の車が、ミッシングマイルに着いたあたりで、完成版とほぼ同じ内容ながら、細かい推敲の跡が多数見られます。それだけ練った作品なのですな。
３・編集者とのやりとり
ＬＳの原稿を送った編集者との、手紙のやりとりが掲載されています。
編集者からは、分かりにくい点に関する質問や、もっと明確に書くよう助言が多数提示されてますが、その指摘された内容と完成版を照らし合わせてみるに…作者は助言をほぼ無視したみたいです。強。
具体的には、「レインとナッシングはもっと仲良しにしないと、レイン殺害のショックは活きないんじゃ？」「ジラー達の感覚と、クリスチャンの感覚、どっちがこの世界の吸血鬼の標準なの？」などの質問や提案がされていました。一応作者の返答もありますが、あまり答えになってないような。
確かに、編集者さんのアドバイス全て取り入れていたら大変回りくどく、それでいて余韻も想像の余地も無い、索漠とした作品ができあがりそうな予感がしなくもないので、個人的にはポピーＺグッジョブなのですが。
４・ＬＳから削除された部分
ここについては、前回散々雄叫んだので、今回は省略します。クリッシーラーブ。
５・ＬＳの後日談な短編
末尾には2000年に書かれたという、"Stay Awake"という短編が収録されています。作者によると、ゴースト＆スティーブについて書かれた最後の作品になるとのこと。
内容は、ＬＳの後日談で、ゴースト＆スティーブと、アンの亡霊の話です。アンは、自分がゴースト＆スティーブに殺されたと思っていて（…いや間違ってはいませんが）、成仏できずに彷徨っているようです。す、救われねぇですな。霊能力故にそれを知り、苦しむゴースト。何も知らないスティーブ。そんな話です。頑張れゴースト。…いや、頑張りすぎるなゴースト。君はもう十分頑張ってる。アンの霊が安らかになることを祈って、愛蔵版感想文の締めと致します。あうあう。
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2006年6月29日