わたしはジェイが、十年近くもその秘密の狩りを続けていることに感心して、わたしの持論をぶつけてみたくなった。
「君は、自分がしていること―クズどもを狩ることを、正義だと思ったことはないかい？」
首をかしげるジェイに、わたしは続けて言った。
「君がしていることはまるで、腐った街に降りた粛清の天使の、振り下ろされた右腕のようじゃないか」
ジェイは困惑したように反論した。
「僕はそんな風に思ったことはないな。僕はいつも少年たちを愛してきた。でなければ写真に残したり、自分の肉にしたり、その全てを…中身を見たいとは思わないよ」
それから彼は、彼なりの見解を訥々と語った。むしろ自分を、花の芯に巣くって枯らす毒虫ととらえていることを。街にあふれる美しい少年たちの命を刈り取ってしまう無慈悲な異物であると。それは使命ではなく宿命だと。
この件に関してはジェイの方が正しいかもしれなかった。
「なるほどね」
わたしは表面的にだが、自分の見解を引っ込めることにした。彼の中に、少年たちへの怒りや傲慢なまでの支配欲を見出してはいたものの、口には出さなかった。わたしは彼の単純さを、あくまで己の殺戮を愛故と信じる、あどけないまでのおめでたさを愛していた。
（了）
ジェイとアンドリューには、殺人に対する感覚に微妙なずれがあるんじゃないかと思いまして。アンドリューはゆがんだ正義感や怒り交じりでそれに自覚的、ジェイはあくまで耽美一直線。どちらにしても犠牲者にはたまったもんじゃない。
2009年4月17日