アンドリューが滞在して数日経った午後、ジェイはアンドリューのシーツを洗うためにベッドから引きはがした。すると、シーツから自分のもの以外の匂いが漂っていることに気がついた。強烈と言うほどではないけれど、あまり鼻がきかない彼にも分かる確かな匂いが。
それは脂と汗と、ほんのりとかすかに香る、年を経た男特有の匂いだった。彼の気に入りの少年達からは嗅ぐことがないため普段は馴染みがなく、むしろ好きではない類の匂いであったが、不思議と今は好ましく感じていた。何より、アンドリューの匂いが彼の寝具に染みついたことが嬉しかった。
ベッドから剥がしたシーツにくるまって横になると、アンドリューの体臭に包まれ、まるでアンドリューに抱きしめられているかのようだった。それはジェイをひどく幸せな気持ちにしてくれた。ジェイは、シーツを洗うのをもう少し後にしようと思いながら、うとうととまどろんだ。
寝室で、自分のシーツにくるまって寝ているジェイを見かけたアンドリューは、一瞬頭に疑問符を浮かべたが、その横に腰を下ろしてそっと寝顔を覗き込んだ。あどけないまでに安らかな寝顔に、そのまま静かに立ち去ろうかとも思ったが、額にキスをせずにはそうすることはできなかった。
（了）
後書き
この作品の鑑賞ポイントは、33歳にして加齢臭を漂わせているアンドリューです。
2008年9月13日