街の喧噪を離れ、自作のカボチャ提灯を持った金髪の少年がとぼとぼと歩いていた。
一緒に仮装して菓子をねだりに行く友もなく、ランタンを頼りに一人で郊外の闇に向かっていた。
今夜、失われた魂や、悪霊達が蘇るという伝説も、彼には恐ろしくはなかった。
むしろ、是非ともそれらの霊を見たり、会って話をしてみたいものだと思っていた。
どんなに恐ろしい霊だろうと、彼の中に棲み付いている怪物よりは魅力的だろう。
彼の内部を食い荒らす、その怪物の名は「孤独」と言うのだった。
後書き
お題はＬＳと『Lantern,Marsh』より。でも作品はＥＣ。登場人物は少年ジェイ。
作中で、ジェイの死体解体の場面でカボチャ提灯がどうこうとあったので、「ジェイはカボチャ提灯作ったことあるんだー」というわけで。
彼にもそんな時代があったことを微笑ましく思いつつ、「でも友達いたためしがないんだよな…一人でハロウィーンって寂しすぎないか、それ」と索漠とした思いも抱き。そしたら、こんなハロウィーン模様が脳内に描かれ。寂しいなあ。
2007年1月23日