双子は餓え、ぱりぱりに乾いていた。彼らに心を奪われ、生命を吸い尽くされるべき心弱き獲物を求めて漂っていた。
この街の夜を彷徨っていた時、彼らは酒場を渡り歩く、虚ろな瞳の少年を見た。柔らかな金髪と淡い緑色の瞳は美しく、その瞳から垣間見える内面はひどく脆く見えた。
これは久々の御馳走かも知れない。金髪と赤毛は顔を見合わせてほくそ笑んだ。双子は少年の後をつけ、木々に閉ざされた豪華な屋敷へと忍び入っていった。
そして彼らは、少年の秘密を覗き見た。彼がどのような友達と付き合うのかを、彼らは見た。すっかり血を抜かれた青年の青白い死体、それが少年の今宵の友だった。そして、少年が生気のない友と、どのような交誼を結ぶのかを彼らは見た。その腹を割いて、つるつるする中身に歯を立てる様を。
その瞬間、少年は幸福だった。この友のお陰で、少年は満たされていた。少年は彼ら二人を必要としてはいなかった。この孤独な魂には、彼らのつけいる隙は無いようだった。
双子は目にしたものに、そろって首を振り、諦めて少年の元を立ち去った。お腹一杯になるまで貪ることのできる、彼らを求める獲物を探さなければ。二人は空へ消えた。
後書き
お題はポピーＺ作品のそこかしこから。彷徨うキャラも多い世界故。
作品はＬＳとＥＣのクロスオーバー。双子と若ジェイが出会っていたらどうなるかと。
ジェイたん危機一髪かと思いきや、こんな感じで大丈夫なのではないでしょうか。
孤独でも、自足していれば彼らに魅入られることはなかろうかと。
2007年3月3日