「クリッシー」
そう呼ばれるたびに、彼は喜びだけではない何かが、心の底に澱のように溜まっていくのを感じていた。何の気はない親しみの表現と頭では分かっていても、軽侮されていることと、それに対する屈辱感を、わずかながらも受け取らずにはいられなかった。
ずっと一緒に生きることのできる仲間。彼は望んだものを手に入れたはずだったが、生活を共にしているうちに、日に日に増していく違和感は何なのだろう？なぜ彼は自分を幸せだと、完全に信じることができないのだろうか？
彼が、仲間達の空虚な陽気さや無関心な残忍さに嫌悪を感じるように、彼らもまた彼のよそよそしさや冷たさを気詰まりに、うっとうしく感じているのだろうと思っていた。それでも彼らは仲間ではあるのだから、お互い少しの差異には目をつぶって共存せねばならないのだろう。しかし、そのような義務感が先に立つ時点で、彼らは仲間と言えるのだろうか？彼は沈んでいく思考に嘆息した。
彼はこれまで、同類に囲まれながらも孤独を託つ人間を理解することはできなかった。しかし、今の彼はその欠片を理解しはじめていた。できることなら、こんなことは知りたくはなかったのだが。
一人でいて孤独であるより、同類のうちにあって孤独である方が、余程やりきれない心地のするものだなどと。
後書き
お題は…ポピーＺ作品色々から。孤独キャラ多い世界ですので。作品はＬＳより。
400年近くも孤独という、ポピーＺ界のキングオブ孤独キャラ・クリスチャン。ずっとひとりぼっちで、望んでいた仲間と一緒にいてもあまり幸せそうじゃないという、どこまでも孤独な彼に涙。そりゃもう飛鳥武蔵並に孤独な戦士であります（風小次知らん人には謎なネタ御免）。
仲間との再会当初は嬉しそうではありましたが、生活を共にしていくうちに幸せそうに見えなくなっていく彼が悲しい。働かない仲間達との生活を支えるために仕事を増やしたり、飲めない酒を強要されて飲んじゃったり。…と書いてみると、何だかどこかにいそうな、だ○んずうぉ〜か〜様に見えてしまい。
実際、一人になるのが嫌なばかりに、気に染まない相手からも離れることができず、その要求を無理してでも受け入れてしまうというのは、だ○んずうぉ〜か〜の心性以外の何者でもないような。んー最長老吸血鬼様は、年季の入っただ○んずうぉ〜か〜様でもありましたか。
2007年1月26日