愛と殺意△

あの出来事からしばらくたって、トレヴァーは少しずつ俺にあの時の話をしはじめた。
夢の中で死んだ父親に遭ったこと、そしてその口から、過去の家族殺害と自殺の真相を聞かされたこと、さらに自分が遺された意味を知らされたことを。

自分は愛のために生き残されたのではなく、殺すほどには愛されていなかったがために、生き残されたのだと、トレヴァーは父親に聞かされたと言った。

そしてその告白が、トレヴァーに俺への殺意を植え付けたのだとも。奴の父親は愛のためにその家族を殺した。そして彼は一人生き残った。彼もまた、愛する者を殺さなければ、真に愛するのならば殺さねばならない、と取り憑かれるように信じてしまったのだと。

もちろんそれで、自分のしかけたことを釈明するつもりではなさそうで、彼は何度も俺に謝っていた。俺はもうそれほど気にしていなかったが、彼の気の済むようにさせようと思い、止めはしなかった。

彼の詫びの言葉を聞きながら、俺は奴の父親に感謝した。トレヴァーを生き残してくれてありがとうよ。アンタがクソのような愛情をトレヴァーに抱かなかったお陰で、俺は今この恋人と共にいられるんだからな。

後書き

お題はＤＢ。作品もＤＢ。
ＥＣもＬＳも、愛と殺意が紙一重な作品かもですが。ＥＣのジェイの少年ラブ＝食べたいくらい、つーか食べちゃえ、やＬＳのクリッシーの少年愛と食欲の一体化は…あれだ、さ○なクンが、魚を観るのも食べるのも大好きってやつでしょうかね。

ＤＢのクライマックス、トレヴァーが生き残った理由は↑な感じで、明かされて「えええっ」ってなもんでした。ヒドイやパパ。…でもあれ、トレヴァーの夢と言えば夢の中の話ですよね。あんま気にするなってそういうわけにもいかないか。

2007年2月6日