眠気にたゆたいながら、アンドリューは自分の指についた噛み傷に気がついた。彼はぼんやりと、血が滲んでいる部分を眺めてから、口づけて血を舐め取った。自身の鉄の味に少し目を覚まし、この傷がジェイのつけた物であることを、漠然と悟りながら。
彼は不思議に思った。このような傷をつけられるようなことを自分はしたのだろうかと。余人なら、罪悪感と共にこの傷を受け取るのであろうと思われた。しかし彼は、これも生きた相手との久方ぶりの性交渉の副産物と、さして気にも留めずに受け止めていた。猫に手を出して引っかかれた程度のものだと。やがて満足のうちに彼は眠りについた。
この噛み傷や、背中につけられた爪痕は、犯される者の精一杯の抵抗が成した傷であった。しかしこの良心を欠く相手に対しては、ついに物理的なダメージ以上の物を与えることはできそうにはなかった。
後書き
お題はＬＳやＤＢやその他。自傷行為するキャラも多いですし。で、作品はＥＣ。ジェイとのムリヤリ事後のアンドリューを三人称視点で。
アンドリュー視点だと何だか和姦に持ち込んだように書かれてますが、こんな傷をつけられてるあたり、ホントはジェイ…最後まで嫌だったんじゃね？と思ってみたりもしましたがどうでしょうか。この件に関してジェイの感想が何もないので真実は藪の中ですが。
そんな相手の痛みもアンドリューは斟酌しようとしなかろーと思うと、サイコパスって怖ぇなあ。
2007年2月18日