何気なくジェイの家を探索していたわたしは、クローゼットの引き出しの奥から大量のポラロイド写真を発見した。
それは少年達の扇情的な姿を写したものだった。ただし、わたしのような者にとってセンシュアルに映るという意味でだ。
それらの写真は、残酷なまでに克明に、少年達が縛られ、哀れっぽく涙を流し、生きながら身を砕かれ、または切り開かれ、血と臓物をぶちまける物体と化していく過程の数々を写しだしていた。
その写された内容の陰惨さに少々鼻白みつつ、わたしはその殺人の経験に没頭し、全身で楽しむことを中断してまで、逐一この記録に留めておこうとした、撮影者であろうジェイの執念に、呆れるような感心を覚えた（呆れたのは、そのような忙しなさはわたしの取るところではなかったためだ）。
想像してみるといい、少年達の生命を我が物として弄ぶだけでは飽きたらず、その過程全てを画像として紙に焼き付けて、記憶より永く保存しておかんとする欲望の強さの程を。それはまさに、少年達の全てを所有せんとする、彼の支配欲、独占欲の深さを表していた。
しかし、これまでに共有した秘密の儀式で、彼はこのような欲求をわたしに見せたことはなかった。わたしとの出会い以前に彼の欲望は治まったのだろうか？わたしには分からなかった。
訝しみながら写真を眺めていたわたしは、戸の外にわたしを捜す彼の気配を感じ、ぶ厚い束をとっさに引き出しに押し込んだ。
後書き
お題はＥＣやＬＨより。作品はＥＣ。
ジェイの写真撮影の趣味も、殺人嗜好とともに、彼の「物化した人間しか愛せない」傾向をよく表しているのではないかと。
人を物と変えるという点で写真は＝殺人、とまで言ってしまうと飛躍しすぎてミョーな感じもしますが。
2007年2月19日