美△

ニックが作ったもう一つの城の寝室で、猫の王とニックは共に横になっていた。
王は自身の腕の中で眠っている少年を見やり、ぼんやりと思った。
彼は自分の物だと。しかしなぜ自分はこの少年にここまで惹かれたのだろう？

彼が示す、王の一族―猫に対する大いなる愛情、親和性のためだろうか？
猫として対した時、自分の背や顎を撫でた手の心地よさのためだろうか？
王の召使いとして、自分に対して見せた、勤勉さ、忠実さのためだろうか？
どれも、それはそれとして重要ではあった。しかし決定的な物とは成り得ないようだった。

他の大抵のことには明晰な王も、自分の心は解しかねて、考え込んでいた。
長く、鋭い爪で王がニックの髪をいじるのを見ながら、窓の外で月はじりじりと空を歩んでいった。

しばらく思いに耽っていた王は、ふと、ニックが軽く目覚めて微笑みかけるのに気づき、胸の内が躍るのを感じた。王は改めて気がついた。この少年の内気な笑顔の甘美さに、細められた澄んだ紫の瞳にこそ、自分はどうしようもなく惹かれ、恋をしたのだと。

王は自分の心を確かめて力づけられたように微笑み返し、いつも彼に告げている独占の欲望を再度告げた。そして初めて告げたのだった。彼もまた、ニックの物であると。

後書き

お題は、ポピーＺ作品のそこらへんから。美形だらけの世界故に。
作品は『King of the Cats』より。王様がニックにラブな理由が不明なので、こう解釈しました。
とりあえず、美形だからなのかなーと。それでいいのか王様！ってなもんですが、
ＬＳでクリッシーが、永い人生の最後に見る相手が美人ならまーいいや、な世界なので、美形ならオールオーケーかと。

2007年2月18日