幼い少年は母親の不在をうかがい、その部屋に忍び込んだ。豪奢な寝室は、麝香と薬草と果実の香りで、鼻につく甘ったるさに満たされていた。
猫脚の優美な机の上には、彼には馴染みのない色鮮やかな瓶が並んでいた。封が切られた、ペルノーとブラックベリーブランデーの瓶。その眺めは、何とも中途半端な印象を彼に与えた。
彼は首をかしげ、何が足りないのかを考えた。そして思い当たると、自分の酒蔵からバーガンディワインでも持ってきて、一緒に並べておこうかと思ってみた。
そう思って歩み去ろうとして、ジェイは机の上の緑色の瓶に足を引っかけて倒してしまった。幸いにして残りは少なく、不自然に黄色い飛沫が少し机を汚しただけですんだ。
その色を見てジェイは思った。わざわざ酒を追加する必要はないのだと。この酒は一本で、マルディグラカラーのうちの二色を兼ねそなえていたのだった。
後書き
ジェイママこと、ミニヨンさんの好きなお酒には何か一色足りないと思いまして。
お題は、この配色はポピーＺ作品に頻出なので。ジラーの髪の色やら。
「マルディ・グラカラー」といって、マルディグラの日はこの色で街が飾り立てられるそうな。。派手ですな。
クリッシーが急にホームシックにかかるのも、この色を見たからなのです。成る程納得。
2007年1月20日