奴隷小屋で屍体を粉砕し、肉汁でべとべとになったわたしの身体を、ジェイは熱心に舐めていた。胸に上ってきたジェイはわたしの左胸の傷―切開されかけた時の傷だった―に気づくと、にやりと笑いかけてきた。
そして、まだ赤さを残す傷に口づけて、集中的に舌を差し込むように舐めだした。彼の攻撃的な愛撫を受けて、わたしは疼くような痛みと共に、奇妙な感覚を二つ同時に覚えた。それは、傷口から心臓を吸い出されるような恐怖と、心臓に直接キスをされているようなときめきであった。わたしは混乱した。それは、初めて味わう感情だった。
彼は、この傷口に手を差し込み、力を込めて、わたしの皮膚を引っぺがすこともできるのだ。わたしは自分の身体が裏返しにされる様を想像した。実際には彼の関心は他に移り、そんなことは起こらなかったのだが。わたしはほっとするような残念なような気持ちに襲われた。これが、生きた相手を愛するということなのだろうか？
わたしを傷つけることもできる危険な恋人という、これまでにない仲間をわたしは今、手に入れた。そのスリルに、途方もない欲情がわたしの背筋を駆け上った。
後書き
お題はＬＳやＥＣから。自分探しと同様に、仲間捜しも重要な話かと。
作品もＥＣ。生きている、対等な仲間を得た喜びと困惑など。
2007年3月3日