屍△

ジェイの肉体を征服したわたしは、手錠に繋がれたままの彼を労るように愛でた。このように交わった相手を生かしておくのは、実に何年ぶりのことだろうか。わたしは思い出せなかった。

しかし、彼に関しては殺す必要がないことは分かっていた。わたしに屈服し、完全に彼の身も心もわたしの物となった今は。わたしにとっては、それはほとんど死体と同じ存在だった。わたしが最も愛する存在に、彼はなったのだ。

わたしは、この従順で無力な存在を、この上なく愛おしい存在であると感じていた。わたしは彼の汗ばんだ、荒く息をする身体を抱きしめた。これまで他の屍に抱いた以上の愛情を、わたしは強烈に彼に抱いた。

なぜなら、彼はそれら以上の掛け替えのない存在なのだから。彼は美しく汚れなく温もりある身体を持ち、腐り果ててわたしの前から消えることもなければ、蛆を湧かせてわたしを煩わせることもない、まさしく理想的な屍だった。

後書き

お題はＥＣや『カルカッタ』やその他より。作品はＥＣ。

アンドリューにマウンティングされて以降のジェイは、対等なパートナーと言うよりは、召使いゾンビのようなもんじゃね？と思って書きました。＝生ける屍という解釈で、このお題で書いてしまい。

アンドリューは死体大好きというより、彼に逆らわない無力な存在が欲しいんではないかと。なら、生きていて従順な相手が得られればその方がずっと一緒にいられて○なんではないかと。それプラス、ジェイは金も出してくれて家事全般もやってくれる、便利極まりない生きた死体ですし。手放す手はないよなあ。

ジェイをアンドリューのペットと言ってしまうには、ご飯を作ってくれて自分で自分の世話ができる、比類無き都合の良さ故にためらいが出てきます。そんなペットなら私も欲しゅうございますぞ。

2007年2月19日